ルコントだ、と思い借りたけれど、まんまと予想を裏切られた作品。
でもそれはとてもいい意味で、です。 こんな映画はとても好き。 本作に対してルコントは次のように述べる。 「ずっとこういう映画を撮りたかった。 10年前はその勇気がなかっただけだ。 長年の想いを実現できたことにとても満足している。 私の心の鼓動にもっとも近い、そしてもっともシンプルな作品」 そうシンプル。 私が考える「映画」というものをとってもシンプルに作品にした。 そこにあるのは、あるがままのカンボジアの風景、人々。 俳優も台詞もない。 エティエンヌ・ペルションの音楽はあれど、決して効果音ではない。 音楽と映像が共存しつつ、個々に独立している。 あらゆるものを削いだのに、否、削いだゆえか、 強く色濃く、目に、心に焼きつくカンボジア。 生命力。 人間の営み。 これが人間の「普遍」の部分なのではないかな。 大地があって、大河があって水があって、太陽、夕暮れ、雑踏、田園... 見る、食べる、働く、眠る、佇む... そう思うのは、日本のものであれど仏教(=カンボジアの信教)が身近にあるからなのか。 大地と宗教について考える。 キリスト教に比べると、仏教やイスラム教ヒンズー教などは大地に根付いた宗教だという。 自分ごときが宗教について公言するにはとてもじゃないけど無知すぎる。 けど、キリスト教は人間の「欲」にうまく適応し、説得力を持ってきた。 その結果が資本主義であり、合理化であって。 この作品はそんな生活に疑問符を投げかける。 色彩感覚はさすが。
by miyua-moi
| 2007-03-10 09:22
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