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孤高
今日は観ていない映画について...f0060883_051153.jpg

 『 孤高 』 

いつだったでしょうか。
4~5年前...
観ようと思ってフライヤーだけ手にとって
結局、観に行けなかったレイトショーの映画。
DVD化もしていない、検索しても見当たらない。
そんな映画なので内容もあいまい。

老衰で亡くなってしまった男が、生前に愛した2人の女性の
私生活を鳥瞰図的に見守るだけの映画...
音楽も声も感情さえもない映画...
だったような。

私はその時、フィルムノワールのようなものが観たかったのだろうか。
フライヤーは2年間くらい部屋の壁に貼られて、ボロボロになってしまいました。
でもスキャンはしてあったようで。

すっかり忘れていたのに、最近思い出したのは
村上春樹の「アフターダーク」を読んだから。
この作品も鳥瞰図的な視覚で書かれています。 珍しく「僕」は出てきません。
深夜から明け方にかけての、ある人々の動向を客観的に追う作品。
そこにあるのは空気や温度、音、そして視線...

ある一定の距離間...

外側からの暗闇。 内側からの暗闇。

私には、それがとても心地よかった。

村上春樹の文体は呆れるほど、あいかわらず。
決まりきった文のはこび、淡々とした視点、バックミュージック。
でもやっぱり、象徴的な余韻にはついついしばらくひたってしまう。

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4~5年前の私も
そんな映画にひとり
浸りたかったのかもしれない。


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by miyua-moi | 2006-10-29 00:06 | film
トゥルットゥルー♪
あいまいな「かたまり」のようなもの
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高山なおみ 
「帰ってから、お腹がすいてもいいようにと思ったのだ。」より抜粋
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あまりの幸福感に目が覚めた。
なごり惜しいようなもったいないような、そんをしたような気持で
ふとんをかぶって目をつぶった。
シーツの奥まで潜りこんで、夢に髪を引っぱられているつもりになってみても、
燃える空は、もう、どこにも見えなかった。
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本当にそんな気分で目が覚めた。
前まで夢なんか全然見なかったのに、最近は一眠りするたびに何種類も夢を見る。
幸せな夢だったり、不安いっぱいの夢だったり、
意外な人が出演してきたり、常連の出演者がいたり、
具体的だったり、非現実的だったり、
その中間だったり。

きっと、このときは「幸せな」方の夢で眠りを締めくくったんだろう。

この「幸福感」は本当にもったいなかったので、
しばらく「イモムシ」みたいにグリーンの掛け布団に頭の先までぐるぐる巻きになって
夢に戻ろうとしたけど無理だった。
何をしても「もう、どこにも見え」ないのは分かっていたので
えー いっと起き上がった。

それでも、悪あがきでフィッシュマンズのいつものPokka Pokkaを口ずさんだ。
「トゥルットゥルー♪」と歌っていると、不思議と幸福な水の中に浸っている気分になる。
起きているのに、夢の中の幸福感を感じることができる。




「帰ってから、お腹がすいてもいいようにと思ったのだ。」より
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H子は、(中略) 自分のしたいことだけをして生きてゆきたいと思っている。
だけど、どうすれば良いのか方法がわからない。
彼女の想いは真剣で、いろいろ考えていることはわかるのだが、
自分の中に湧き上がってくるわけのわからないエネルギーをもてあそんでいるだけのように見える時がある。
憂鬱になって押さえこんでみたり、
ある時は、思い切り酔っ払って野放しにしてみたり。
そのエネルギーが何なのか確認することをしないので、その力を利用して
先に進むことができないでいる。
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昔、まだ小学生だった私に、父が放った一言が忘れられない。
「miyuaは器用貧乏だよなー。」
その言葉は私の一部のようにずっと、私の体にいつも貼りついて離れない。
私はたぶん「H子」さんなのだ。
エネルギーの放出の方向をいろいろ考えるのだけど、
いつも間違ってしまうみたいで、また1に戻る。
最近はいろいろあって、エネルギー放出の「1」どころじゃなくて
人間として、人としての「1」にやっと戻ろうとしてる。と思う。

今は再生のとき。

それまでに、たぶん2年間は無駄に過ごした。
それでもその2年間は、人生の中で多大な範疇を占める人と出会ったし
まっしろで空虚だけど、黒くて濃密で、きっと無駄ではなかったんだけど。
でもまだ「無駄」にしか思えない。
「意義」を見出すには、きっとまだ色んなことに納得が必要で、時間が必要なのだ。


再生のとき。
「トゥルットゥルー♪」の幸福感と一緒に。
また道を間違うと思うけど。
いいんだ。

今はまだ、あいまいな「かたまり」のような自分で。
だぶんいいんだ。




※ごめんなさい、今日のカテゴリーは久々のfeelです。
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by miyua-moi | 2006-10-19 15:43 | feel
武満徹 「時間の園丁」
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質感の違い。。。

ジャームッシュが武満に映画音楽を一旦依頼し、断った理由が分かった気がした。
そして代わりに、トム・ウェイツを起用したのも。(「ナイト・オン・ザ・プラネット」)
武満の映画音楽に、無意識な「核」として現れるもの、それは「艶」「光沢」なのではないか。
一方、ジャームッシュが求めていた音楽(映画への効果)は全く逆の「ざらつき」だったのではないか。
なんて、思った。
ま、ジャームッシュのことなんか一言も書かれてないんだけどね。
文章に、艶と光沢感を感じたのです。


この本は、新聞連載など短文をまとめた武満晩年のエッセイ集。
今の現状を“音楽の垂れ流し”という言葉で語る、
この人の音楽的観点が好きです。
音楽だけではなく、本当に見たこと感じたこと、といった感じのエッセイ。

私は占いとか自己啓発的な本に興味がない。
というか読んでも、そこからは何も得られないのです。
そのかわり、時々まったく予想もしなかった本で、
なんだか泣きそうになって、ありがとう、ありがとう、と思いながら読めるものに出会う。
それが特にコレとこの本でした。

この本の存在に感謝。



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by miyua-moi | 2006-09-08 10:10 | book
スコット・フィツジェラルド
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この人の言葉には、心をわしづかみされる。
春樹も敬愛する、スコット・フィツジェラルド

フィツジェラルドの作品は不思議。
『 グレート・ギャツビー 』は村上春樹(正確にはノルウェイの森の「僕」)が言うように、
1度読んだだけでは、全くよさが分からなかった。
けれど2度目で、胸に迫ってくる強烈な感覚を経験し、
フィツジェラルド個人を知ることで、深く寄り添う感覚に変わる。
彼の作品を読むには、彼個人の半生も追っておく必要があるかもしれない。
深く深く入っていける。

私は、そんなスコットの奥さん ゼルダに強く惹かれます。
華やかで、危うくて、もろくて、哀しいゼルダ。
彼女も文章を書いていたので、いつか読めたらいいな。
いつか。。。(参照。高いんです…)
スコットの作品は短編が比較的好きです。
『 リッチボーイ 』とか。
そんなわけで短編集。



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by miyua-moi | 2006-06-23 02:42 | book
ロラン・バルト
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フランスの現代思想家で記号学者。(たぶん)

サルトルつながりで読むようになりました。
エクリチュール(文字・書かれたもの)とか、シニフィエ(意味されているもの)とかシーニュ(記号)とか、
とにかく、本の中は言語学用語が絶えないのだけれど、慣れてしまえば、また違ったものが見えてきます。

評論や思想を書いている中でも、バルトの著書は
感覚的なもの、小説を読んでいるかのように思わせるものを、感じることが多いのです。
しかも、彼の五感は狭まることがないのです。
文学や記号学はもちろん、あるときはファッション、
あるときは写真や映画、映像、演劇、文化。
またあるときは異国について。美術について。自分自身について。
自身でも、絵を描くし、ピアノは弾くし。


彼はゲイなんですよね。
『 偶景 』という著書はそれがはっきり分かるのですが、好きな本です。
なぜか、淡々とした典型的な「日本映画」を観てる気分になるのです。

コレージュ・ド・フランスでこの人の講義を聴いてみたかったと思ったりします。



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by miyua-moi | 2006-05-30 00:57 | book
恵比寿南を歩く、の巻。
ひっそり静かで、少し異国情緒な裏路地。
恵比寿南の旅。

タミゼ(antiques tamiser)に行こうと歩いてたら、
f0060883_1134144.jpg異国情緒な看板に遭遇。
移転したメゾン・マルタン マルジェラでした。
覗いてみました。
店内はやっぱり白。
ことごとく白。
広いです。
①~⑭のコレクションごとに部屋が分かれているみたい。
古い工場跡と聞いていたのに、昔からずっとあったようにバスタブがありました。
アクセサリーが可愛かった。
BGMがトレインスポッティングでしたわ。なつかしい。


f0060883_19252137.jpgで、タミゼ
店内は… 素敵すぎる。
森の中のアトリエみたいな感じ。
木漏れ日みたいな空間。
なんか、いい匂いがしてました。
古いものってなぜ美しく感じるのでしょうか。
「綺麗」とか「華麗」の美しさじゃなくて、みしみし伝わってくる「重み」の美しさ?
ホーローのお皿が欲しかった。
でも買わない。買うなら何枚もほしいもんね。
オーナーの吉田さんは、私の今の実家がある黒磯(栃木県)に住んでいたのです。
ま、特に接点はないんですけど。すっごく田舎なので単純にうれしい。

帰りはカフェのテラスにて、ペリエでひとやすみ。

f0060883_19245484.jpgあ。あと、タミゼのお向かい、リムアート(limArt)。
ここは素敵な写真集・アートブックが置かれるお店。
ここもタミゼも、ひとつひとつ大切に選ばれたものだけが、共存する空間。
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by miyua-moi | 2006-05-25 09:23 | daily life
帰ってから、お腹がすいてもいいようにと思ったのだ。
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最近よく周囲から発せられる、「お風呂で本を読む。」
っていうのがどうもが苦手だった。
蒸気で本がべろべろになり、頭がもあもあして、居心地が悪かった。
けど、そんな私が最近、お風呂で本を読む。
読みながら1時間は軽く過ぎる。
きっかけはこの本。

『 帰ってから、お腹がすいてもいいようにと思ったのだ。 』 - 高山なおみ

料理研究家高山なおみさんが書くエッセイ。
お風呂で読むに適した本、だと私は思う。
高山さんの文章は、体温が低い。
そして湿度が高い。
温度が低くてひんやりしているのに、
目の周りがじんわりして、じくじくあったまる。
せまい空間の中で響く、ピトン、ピトン、としたたる水滴のような高山さんの
文章は、お風呂で一文一文しっかりと吸収するのが一番なのだ。
水滴のように言葉が降ってくる。
言葉は、肌にしっとりと染みてくれる。
生々しく等身大な言葉が。
そして目の周りがじんわりする。
お風呂だから、涙なんだか何なんだか分からないけど。
体の芯のほうが、すっと透きとおる感覚。

私は心地よくぐったりした体でお風呂をでる。
食べもののことを考えながら。

人は悩む。でも、食べる。
食べものが「生きる糧」として、
確かにじんわり体に染みていくのが分かる、そんな本。
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by miyua-moi | 2006-03-29 00:32 | book
中原中也詩集
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中原中也の詩。
透明で、じわっときて、脳内リセットされる。
ある距離感、遠い感覚がまたいいのだ。
染みこむ、染みこむ。。。


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by miyua-moi | 2006-03-16 21:38 | book
ラ・ロシュフコー箴言集
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出会いたくなかった。この人。ロシュフコー
17世紀のフランスのモラリストです。

われわれの美徳は、ほとんどの場合、偽装した悪徳に過ぎない
恋はその作用の大部分から判断すると、友情よりも憎悪に似ている
哲学は過去の不幸と未来の不幸をたやすく克服する。しかし現在の不幸は哲学を克服する
われわれに足りないのは力よりも意志である

われわれが、物事を不可能と思い込むのも、とかく、自分自身に言い訳するためだ

こういった、ひねくれ箴言がずらっと書き綴られています。
なぁんか、印象は悪いです。
でも私は小さい頃から、まさにこういうことを考えてました。まじめに。
腹グロでしたから。今考えると、嫌な子供です。
これは人間の本質なのか、
それともこの作者のひん曲がったものの見方にすぎないのか。
→私は前者だと思う。
なんか、私やっぱり、ひねくれてる。
改めて思いました。
こういう自分、嫌なんだけどな。
だから、出会いたくなかったんです。
言葉がストレートに突き刺さるから。

でも、自分とリンクするところがクセになって、読んでは結構なダメージ食らってます。
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by miyua-moi | 2006-03-06 23:00 | book
梶井基次郎 「檸檬」
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今のどんよりな私を象徴するかのような本。
憂鬱で退廃的。
でもどこか健全さがあって惹かれる。
なんといっても、描写がいいの。
きれい。というかきめ細やか。
視覚、嗅覚、聴覚、触覚、はては味覚。
すべてが促される。
檸檬のイエローとみずみずしさは強烈。

新感覚派よりの人らしいです。この人。
私の印象は、川端康成×サルトル。
しかし、梶井さん、顔が意外です。しゅん。。。
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by miyua-moi | 2006-01-20 23:00 | book